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2019.03.29
Amazonがエンジニアの増員を計画
インターネット通販大手のAmazon.com(以下「アマゾン」)は、アメリカ・テキサス州オースティンのテクノロジーハブで新たに800人の技術職従業員を採用する方針を明らかにしました。第二本社候補地の有力候補(一旦ニューヨークが建設地として決定されたものの、現地の反発を受けて撤回)となっていたオースティンの事業拠点を拡大するものです。アマゾンはこの4年間でオースティンにて1,000人の従業員を採用していますが、更なる増員を図ります。
給与水準の高い地域
今回アマゾンが従業員を増員するオースティンの拠点は、オースティンのTravis County(=トラビス郡)に位置しています。アメリカの統計であるU.S. Censusによると、当該地域では平均週給が$1,226となっており、全米平均の$1,055を2割近く上回っています。
なお、Austin
Chamber(=オースティン商工会議所)によると、年収についても2017年度の世帯年収全米中央値が$60,336であるのに対し、オースティン経済圏の世帯年収中央値は$73,800と全米平均を約$13,000上回っています。
また、職種別の平均時給へ目を向けると、オースティン在勤のコンピューター・ハードウェアエンジニアの平均時給は$60.47となっており、全米平均の$57.52を上回っていることから、当該地域で勤務するエンジニアには比較的評価が高く、優秀なエンジニアが多いことが伺い知れます。
オースティンは「シリコンヒルズ」と呼ばれていて、DELL・IBM・Samsungなど世界的なIT企業や電子機器メーカーが多数オフィスを構えており、このような大手企業に勤める優秀なエンジニアがこの地域の平均収入を引き上げています。また、iPhone等で知られるITメーカーのApple(以下「アップル」)もオースティンの拠点を増設する計画を昨年末に発表しており、各企業の拡大とともに、オースティンで高所得者が増えていく期待が高まっています。
参照記事:2019.1.22 Appleがテキサス州オースティン及びアメリカ各地のオフィスを拡大
人口と住宅マーケットの推移
大手企業の集積と拡大に伴いオースティンでは人口も増加しており、2000年には人口1,249,763人だったものの、2017年には2,115,827人まで増えています。2007年から2017年までの10年間の人口増加率は、全米で8.0%なのに対して、オースティン全体では34.1%となっています。
また、オースティンにおける年齢別の人口を見ると、25歳~44歳(約33%)及び45歳~64歳(約23%)の人口が約半分となっており、就労人口が多いことがわかります。
他方、住宅マーケットへ目を向けると、オースティンにおける2019年2月の一戸建住宅価格中央値は$295,000となっており、前年同月比でほぼ横ばいとなっています。また、売却物件の情報が市場に流れてから成約するまでの日数は70日間で、こちらは前年同月比で3日間短くなっています。
なお、トラビス郡では一戸建住宅価格中央値は$344,000(前年同期比1%増)、情報公開から成約までの日数は58日(前年同期比13日短縮)となっています。特にトラビス郡では、良い物件については競争が激しくなってきている様子が伺えます。
オースティンにはアマゾン・アップルの他、併せて「GAFA」と称されるGoogle及びFacebookもオフィスを構えていますが、これら大手企業の他にも多数の企業が進出してきており、今後の発展の行方に注目が集まっています。