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海外不動産投資コンサルティング

MARKET UPDATE

“State-built homes spurring Auckland’s property boom”
国営住宅がオークランド市(ニュージーランド)の住宅バブルを誘発

ニュージーランド

2015.12.04

2015年11月24日のBusiness Times Singaporeによると、ニュージーランド最大の都市であるオークランドの住宅価格は、今や世帯収入の割合から考えると先進国で2番目に高い水準となりました。(1番目はベルギー)
オークランドは南太平洋に住む450万人のほぼ3分の1が居住する経済都市です。多くの公園やビーチがあり、穏やかな気候で知られます。

オークランドの海辺にある新しい国営住宅のデュープレックスは、キッチンに流しが無いのもかかわらず熱狂的な入札合戦となりました。
同市では過去何十年にもわたり低所得者向けの住宅が作られてきましたが、一般的にこれらの国営住宅は敷地が広く(敷地面積は400平米以上という決まり)、街に隣接している為に人気が高まり、今や平均住宅価格はロンドンを超えていると言われています。(現ニュージーランドのジョン・キー首相も、未亡人であり移民の母によってクライストチャーチの国営住宅で育てられました。)

さて、昨年だけでオークランドの住宅価格は24%増加しました。オークランド市内の不動産ポートフォリオ内の少なくとも約650以上の家は政府の国営住宅で、少なくともNZ $1ミリオンの価値があると言われています。住宅不足と不動産投機への抑制政策がなかったことが主な原因となり、都市の住宅の平均価格は過去4年で70%上昇しました。

同時期を比較するとニュージーランドで2番目の都市であるウェリントンでは9.9%、英国のロンドンでは50%の価格上昇で、オークランドの上昇率が際立っています。現在、オークランドのささやかな家を購入する若いカップルの場合、住宅ローンの支払いに彼らの収入の60%が充てられます。

ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は11月11日、半期に1度の金融安定報告書を発表し、オークランドの住宅価格急騰が国内経済に及ぼすリスクが増したと指摘しました。また、今後も上昇が続くようなら、融資規制を厳しくすると述べました。

通常、住宅価格の急騰を抑える場合に中央銀行は「利上げ」をしますが、ニュージーランドの経済を語る上で欠かせない乳製品の価格が下落していることで経済が鈍化している為、繰り返し利下げが行われています。

さらに、ニュージーランドにとっては中国経済も非常に重要です(中国への輸出は全体の約20%、最大の輸出相手国)。今後の中国経済の動向もニュージーランド政府は注視していくと言っています。住宅価格の高騰、乳製品価格の下落、中国経済の動向と、ニュージーランドを取り巻く環境は複雑さを増しています。現在、投資家の間では更なる利下げがあるかどうかが注目されています。