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2015.11.27
今月半ば、アメリカの大手ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルが、スターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイドを122億ドル(約1兆5千億円)で買収するということでホテル業界再編の大ニュースとなりました。
両社は日本でも広く事業展開していますが、今回の買収で7,500万人の会員と110万室の客室を持つ巨大チェーンが誕生します。買収は2016年半ばに完了する予定です。
ちなみに110万室というのは、規模で言えば日本全体のホテルの客室数を全部合わせた数よりも多く、業界2位となるヒルトングループの客室数(約73万満室)と比較しても非常に多いことがわかります。
スターウッドは「シェラトン」や「ウェスティン」「セントレジス」など皆さんもご存知の高級ホテルを手掛けています。マリオットはあの高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」や、中間価格帯の「コートヤード・バイ・マリオット」の幅広いブランドを展開しています。日本の大手ホテルはFC展開で出遅れているのに対し、マリオットとスターウッドは以前から日本事業に積極的で勢いがあります。現にマリオットもスターウッドも、今後の日本での新規事業計画も複数抱えているそうです。
このように日本では、買収によりマリオットの「規模」が大きくなることが中心に報道がされました。
アメリカではどう報道されていたかというと、11月17日のTHE WALL STREET JOURNALは、【No Five-Star Price for Starwood in Marriott
Deal】「スターウッド買収価格は5つ星ならず」と評価しています。
「米ホテルチェーン大手スターウッド・ホテルズ& リゾーツ・ワールド ワイドの運営するホテルは最高級ブランドだ。しかし同社株は、そのブランドほど最高のプレミアムを得ていないようにみえる。」
スターウッドの売上高は過去3年にわたって減少し続けており、一部屋当たりの売り上げは過去半年減少しているのです。2月には業績不振をめぐる懸念の中で最高経営責任者(CEO)が辞任しました。スターウッド社の買収は、中国企業とハイアット・ホテルズが手を上げていましたが、上記のような懸念もあり実際の価格の提示はしなかったと言われています。そして最終的にマリオット社が買収を決めました。
買収に伴うシナジー効果も、迫力に欠けるようだと評価しています。マリオットは、スターウッド買収完了から2年目(通年)は、一般管理費の削減を中心に年2億ドルの経費を節減すると述べました。
買収後、「一般管理費を抑えます!」というのは確かに今ひとつインパクトがありません。
ロイヤルティプログラム(顧客向けポイントサービスなど)など、合併のシナジーを効率的に発揮できるかどうかが今後注目されます。