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2015.12.10
2015年11月27日のBusiness Times Singaporeによると、ジョホールバルで進んでいる「イスカンダル計画」の中心エリアのある金融・経済ゾーン(A地区)で、複数のメガモールの建設が予定されており、今後2年~3年の間にリテール市場が拡大していくとのことです。
「イスカンダル計画」とは?
ちなみにイスカンダル計画とは、マレー半島の最南端に位置する街のジョホールバル一帯に巨大都市を建設する計画です。マレーシア政府とジョホール州政府が進めている総投資額約10兆円のプロジェクトで、開発期間は2006年~2025年とされています。同エリアに進出する企業は、政府の認定を得られた場合、所得税の10年間の控除などの優遇措置を受けることができます。(業態により優遇措置は異なります。)
※イスカンダル計画は以下のような5つのエリアのゾーニングがあります。
A地区 ジョホールバル市街地を中心とした金融および経済ゾーン
B地区 商業地域であり教育や医療に力をいれている新都市ゾーン
C地区 タンジュンプルパス港などがあり西玄関口開発が続く物流拠点ゾーン
D地区 化学や電気電子などの製造メーカーの工業団地ゾーン
E地区 ハイテク分野、サイバー産業の誘致が進むスナイ空港周辺ゾーン
さて、イスカンダル計画の中心部のA地区に近い大規模なショッピングモールは、JOHOR BAHRU CITY SQUAREを含め、リテールテナントの稼働率が80%を超える高い水準となっています。
●ロケーションが明暗を分けるショッピングモールの賃料
平均的なジョホールバルのショッピングモールの月あたりの賃料単価は20リンギット以下/SQF(平米あたり6,000円以下)なのですが、JOHOR BAHRU CITY
SQUAREは、税関審査場に直結する便利なロケーションであることから、リテールテナントの賃料単価が50リンギット/SQF(平米あたり約15,000円)と平均の2倍以上です。商業施設でも住宅と同様、やはり立地がとても重要といえます。
ジョホールバルのショッピングモールの中には、マレーシア経済の後退の影響を受け、買い物客の需要が縮小してきている店舗もあります。例えばB地区のメディニモール内にあるいくつかの店は客足が減った影響でシャッターをおろしています。
マレーシアの大手不動産コンサルティング会社KGVのダイレクターは、「リンギット安が続き、生活費が上昇しているので、ジョホールバルの消費者の需要は今後も減少傾向が予測される」とコメントしています。
●今後も予想されるリンギット安傾向
KGVのダイレクターの指摘通り、マレーシア通貨のリンギットは低迷が続いています。マレーシアの主要な輸出品である原油、天然ガス、パーム油などの資源価格の下落により国の財政が悪化し、さらに政治の混乱も長期化していることが主な原因です。
国内に渦巻く政治不安および、資源安にまだ歯止めがかかっていないだけに、年明けもしばらくリンギット安の見通しが続くだろうと言われています。
人口の増加、中間所得世帯数の伸びなど、国としてのファンダメンタルズは良好であり、中長期的にはアジアの優等生として有望なマレーシアですが、短期的な政治の混乱と経済の低迷から脱する糸口を見つけられるか、来年以降も注目されます。
written by Yoshiko Miyake