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海外不動産投資コンサルティング

MARKET UPDATE

野村不動産がシンガポールの不動産仲介会社と資本提携

日本

2019.01.30

野村不動産がシンガポールの不動産仲介会社と資本提携

野村不動産は、2019年1月17日にシンガポールの不動産仲介会社であるTokio Property Services Pte Ltdと資本提携契約を締結の上、同社の株式を50%取得、共同経営していくことを発表しました。

Tokio Property Services Pte Ltdは、東急不動産が開発した物件の管理会社として1983年にシンガポールで設立された会社です。その後他社開発のマンション管理も請け負ってきましたが、2001年に管理業務から撤退し、不動産仲介・内装工事・エアコン保守などへ経営資源を集中させるようになりました。なお、2015年には野村不動産アーバンネットと、2016年には野村不動産とそれぞれ業務提携しています。シンガポールの本社の他、インドネシアのジャカルタ及び日本の京都にも支社があります。

野村不動産は、今回の資本提携を通じて、東南アジア諸国から日本国内への不動産投資ニーズ及び日本国内から東南アジア諸国への海外不動産投資ニーズをそれぞれより一層取り込んでいきたい考えを持っています。

増加している海外から日本国内への不動産投資

野村不動産の発表では、海外から日本国内への不動産投資に係る同社の取引額は、直近の4年間で数十倍単位の伸びを示しています。

不動産アドバイザリー大手のCBREによると、日本国内事業用不動産投資額の2017年実績では、その約30%(約1.24兆円)が海外からの投資でした。海外からの投資家を国別に分けると、最も大きな割合を占めているのは中国の投資家で、次にシンガポール、香港と続きますが、この3つで約60%を占めています。
なお、投資額全体で見た対前年比増加額(投資額全体は対前年比29%増加)のうち、その70%を海外からの投資が占めています。つまり、海外投資家が日本の事業用不動産投資額を押し上げている現状があります。

日本国内不動産の魅力はリスク・リターン特性

同じくCBREの調査では、調査対象となった海外投資家(投資会社を含む)のうち約4割が、日本国内不動産投資の魅力はイールドギャップ(物件運用利回りから長期金利を差し引いた差額)であると考えていることがわかりました。香港やシンガポールではこれが約1%であるのに対し、日本では低金利政策の影響により約3.1%となっています。

なお、利回りそのものを評価している投資家は数%ですので、上記は日本のマーケットの安定性及び低金利政策がまだ続くだろうという見通しも加味された評価となっていることが予測されます。

当コラムでは以前の記事でも海外から日本国内への不動産投資が増加している実態をご紹介しました。東京では、特にマンション価格が上昇を続けており、商業用不動産の活況度を示す地価も2009年に一旦下落したものの、その後は緩やかに上がり続けています。
東京オリンピックが転換点となる可能性は指摘されているものの、日本国内の不動産会社が海外からの投資へ対応を強化していく現状や、海外の投資家が日本国内の不動産投資総額を押し上げているデータを鑑みますと、まだ海外からの投資熱は持続しているものと見られます。