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2017.12.22
中国からの海外不動産投資額は昨年を上回る勢い
不動産大手JLLのリサーチレポート “China’s 2017 outbound real estate investment to match or exceed 2016” によると、中国当局が資本流出を抑える狙いから様々な規制を強めているにもかかわらず、2017年の中国からの海外の商業用不動産への投資は、2016年の実績である約3.3兆円を上回るのではないかという事です。
“according to the latest JLL data, which shows that more than US$17 billion worth of Chinese investment was poured into overseas commercial properties and development opportunities in the first three quarters of the year.” とあるように、今年の第一、第二、第三四半期は既に約1兆8千億円もの資金が中国から海外の商業用物件に投資されています。さらに、年末にはいくつかの大型案件の決済が控えているという事です。
ギリシャ不動産投資の4割が中国マネー
中国人投資家が不動産を購入している国としてはオーストラリア、英国、米国、カナダなどが有名ですが、ギリシャ不動産への投資も増えてきています。
2017年11月20日の日本経済新聞によると、ギリシャの不動産マーケットやインフラの分野に海外からの投資資金が流れており、その4割が中国マネーだという事です。
不動産投資移民プログラムがギリシャ不動産投資の火付け役
中国人投資家をはじめとする海外投資家を惹きつけている主な理由として、「ゴールデン・ビザ」と呼ばれるギリシャ政府の投資促進策があります。これはいわゆる不動産投資移民プログラムで、25万ユーロ以上の不動産投資をすると、購入した本人とその家族に5年間の滞在許可が与えられるというものです。滞在許可は物件を継続して保有している事を条件に、5年後も更新が可能です。ギリシャは欧州のシェンゲン協定(ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定)に加盟しているため、この滞在許可があるとEUの大部分の国々を自由に旅行できます。中国経済に不安を感じ、将来の移住先を探している中国人富裕層のニーズにマッチしています。
ギリシャ政府は7月に約3年ぶりに国債発行を再開しギリシャ危機からの復活を市場に印象付けました。今年の上半期もプラスの経済成長を記録するなど様々な回復の兆しを見せています。しかし一方で、未だに国内総生産比の約180%の公的債務を抱え、失業率もユーロ圏では最も高い20%を超える状況が続いています。
ギリシャの不動産相場はリーマンショック後に下落し、その後のギリシャ危機もあり価格はなかなか回復せず、まだリーマンショック前の半分の水準で推移しています。不動産マーケットの早期回復のためにも、海外からの投資マネーが流入することをギリシャも歓迎しており、他のユーロ圏とくらべ非居住者が容易に投資できる環境にあります。不動産投資移民プログラムで海外投資家のニーズを捉え、人気が高まっているギリシャ不動産投資が今後も注目されています。
記事提供:三宅美子(Yoshiko Miyake)