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2017.05.24
1,000万円以上する海外不動産をスマホで購入
2017年5月11日のThe Wall Street Journalによると、中国のミレニアル世代は最近スマートフォンで海外の不動産を購入しているそうです。
例えばスマートフォンで利用できる海外不動産投資・売買のサービスのウェブサイト「有路(Uoolu.com)」を通じ、1,000万円以上するタイのコンドミニアムや3,000万円以上するカナダのコンドミニアムを購入する動きが広まっています。サイト内では、海外銀行口座の開設、住宅ローン申請、住宅購入頭金の支払い、買い手の口座から海外不動産開発業者の口座への直接送金などが可能です。
2年前に創業した「有路(Uoolu.com)」は、アメリカ、カナダ、イギリス、タイ、マレーシアなどの物件をサイト上で販売しています。狙っているターゲットは、海外の不動産物件に興味を持っている中国のミレニアル世代です。同サイトの月間アクティブユーザーの約80%が20~39歳で、2万人の顧客が海外不動産を購入済みか購入手続き中という事です。
持ち家比率70%の中国ミレニアル世代
中国のミレニアル世代(1981年~1998年生まれ)は約70%が住宅を保有しているというデータがあります。中国では、子供の結婚にそなえて親が子供名義で家を購入する習慣があり、そうした独特の文化が持ち家比率を押し上げています。
中国で家を持っているにも関わらず、中国のミレニアル世代は、積極的に海外に不動産を購入しています。
5月17日のMARKET UPDATEでは、アメリカのミレニアル世代はリーマンショックの影響も受けているので自国のマイホームですら購入を控える特徴があるとご紹介させて頂きましたが、中国のミレニアル世代はこれとは全く別の行動をとっていると言えます。
なぜ海外の不動産を購入したいのか?
彼らが海外の不動産を購入する目的のひとつは資産分散です。外貨に資産を分散することによって、人民元の下落のリスクをヘッジしたいという気持ちがあります。
さらに、深刻な大気汚染も原因です。将来自分の子供が海外に留学したときに住めるよう、空気のきれいな都市に手頃な住宅を見つけておきたいという強い思いがあるようです。
海外送金に対する規制
中国では個人の海外送金を年間5万ドルまでに制限しており、海外不動産投資を目的とした外貨購入は禁止されています。中国政府が人民元安への懸念から資本流出を抑えようとしている中での海外投資は容易ではありません。
中国の個人投資家は家族や友人の複数の口座に分けて海外に送金するなど、外貨規制の抜け道を常に探し回っています。5人の親族から個別に送金してもらい、海外不動産の購入資金を用意するという方法を使う個人も多いようです。
中国政府が海外への資本流出の規制をし、中国の個人投資家が抜け道を探すという動きは過去からずっと続いています。この動きにデジタル・ネイティブのミレニアル世代がスマートフォンを片手に本格的に参加をはじめた事で海外不動産購入の動きがどこまで加速するのか、今後が注目されます。
記事提供:三宅美子(Yoshiko Miyake)