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2017.06.01
オフィスに求められる役割の変化
CBRE Researchが2017年5月に発行したアジア太平洋地域のオフィストレンドに関するレポートによると、オフィスは単なる仕事のためのスペースではなく、より創造力が活性化されるような空間であることが重要視されてきているという事です。
具体的には、デザイン性のある空間、カフェスペース、健康を維持できるような環境、保育所の併設など、あらゆる機能がオフィスに求められてきています。
時価総額2兆円以上の「WeWork」
このような傾向は、ベンチャー企業やフリーランスをターゲットに成長を続けている会員制のコワーキングスペース「WeWork」のコンセプトが世界に広がってきている事の表れと言えるかもしれません。
「WeWork」はNY州マンハッタンのSOHO からスタートし、今やアメリカの主要都市と世界15か国に展開している急成長企業です。オシャレで寛げる空間の中で創造力に溢れた仕事ができるという理由で世界中の30代前後の若者を中心に支持されています。
オフィスデザインに最新のテクノロジーを取り入れ、不動産×テクノロジーの相乗効果を武器に市場規模の拡大を続けた結果、会員数は既に7万人以上、時価総額は2兆円以上と算出されています。JPモルガンチェースや、ゴールドマンサックスなどの投資銀行も同社に出資をしており、今年の3月はソフトバンクグループが300億円以上を出資したと一部メディアで報道されました。いよいよ日本にも「WeWork」がやってくるのではないか?と注目を集めています。
具体的なサービスの内容とは?
「WeWork」は具体的にどんなサービスを提供しているのか、その一部を見ていきましょう。
●24/7 Building Access 24時間利用可能
●Super-Fast Internet 高速インターネット
●Business-Class Printer 高速プリンター
●Office Supplies オフィス用品
●Micro-Roasted Coffee 焙煎コーヒー
●Fresh Fruit Water 水とフルーツ
●Professional & Social Event 専門イベントとソーシャルイベント
●Global Networks グローバルなネットワークの提供
●Unique Common Areas ユニークな共有エリア
●Private Phone Booths 電話専用スペース
その他、メンバー向けにフィットネスジム、保険、労務管理の優待などあらゆるサービスをグローバルで提供しています。
大企業も「WeWork」を利用する理由
「WeWork」は大企業にも利用されています。例えば新規事業部や急成長している部門などを既存のオフィスから切り離し、「WeWork」の施設内に常設オフィスを構える会社が増えてきているのです。従来の枠にとらわれないクリエイティビティが必要とされる従業員のために、企業側も特別な環境を用意して生産性の向上を推進しています。
冒頭で紹介したCBRE Researchが発行したレポート内では、アジア太平洋地域の20代と30代が新しい仕事を選ぶ際に給与や人事制度以外に重視するものとして、「オフィスの立地」「オフィス環境・デザイン」が上位に上がりました。2020年までにこの世代は労働生産人口の35%を占めるだろうと国連の統計で予測されています。
オフィス環境に複合的な付加価値を期待する若者は今後も増え続ける傾向にあります。スキルがあり生産性の高い若者のニーズを満たすために、企業側も今後あらゆる工夫をしていく必要がありそうです。
記事提供:三宅美子(Yoshiko Miyake)