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海外不動産投資コンサルティング

MARKET UPDATE

アメリカの住宅転売市場について

アメリカ

2019.04.25

アメリカでは、不動産を取得後2年未満の短期間で転売することをFlipping(フリッピング)と言います。日本でもここ数年間で不動産業者を中心としたリノベーション住宅の市場は広がりを見せていますが、住宅市場の90%以上を中古住宅が占めるアメリカでは日本以上に盛んな市場となっています。

フリッピング住宅の件数がサブプライムショック前の水準まで回復

アメリカでは2007年にサブプライムショックが発生して以降、一旦住宅価格が下がりましたが、2011年末頃から再び価格上昇に転じています。フリッピング住宅についても不動産不景気の流れを受けて一旦件数減少していましたが、2018年第4四半期の住宅取引件数に占めるフリッピング住宅の割合は約10.6%となり、サブプライムショック前である2006年第1四半期の取引割合(11.3%)に近くなっています。
また、アメリカの不動産情報会社コアロジックの分析によると、2006年当時と比較すると2018年では取引件数1件当たりの転売益の中央値が大きく引きあがっているため(利益率中央値が9%→23%)、住宅価格が横ばいないしは下落に転じた場合でも大きな損失が出づらくなっているとのことです。

転売する法人が増加

上記と同じくコアロジックの分析によると、以前は個人の投資家などもかなり多くフリッピングへ資金を投下していましたが、現在では2006年時点の3倍近い約40%を法人が占めているとのことです。取扱法人の増加は競争の激化を呼んでおり、これが住宅価格を引き上げる一因となっています。

転売される住宅の半分以上が10万ドル~30万ドル

アメリカの不動産データベースサイトを運営するアトムデータソリューションによると、2018年第3四半期の価格帯別取引件数をまとめると、10万ドル~20万ドルのものが31.6%を占めており、次いで20万ドル~30万ドルのものが24.8%を占めています。50万ドル以上のものは全体の約10%しかないことから、転売される住宅の大半は比較的低価格帯のものであることが伺えます。

転売益が大きい州

  • アトムデータソリューションによると、州別及び都市別に見た転売益の中央値が最も高い上位5州は以下表のようになりました。

    順位 州別 都市別
    1位 ペンシルバニア州 ペンシルバニア州 ピッツバーグ
    2位 オハイオ州 オハイオ州 クリーブランド
    3位 ケンタッキー州 ニュージャージー州 アトランティックシティ
    4位 ルイジアナ州 ペンシルバニア州 スクラントン
    5位 ミシガン州 ペンシルバニア州 フィラデルフィア

    ※アトムソリューションのデータベースより独自に作成

アメリカでは、前述の通り中古住宅が住宅市場の多くを占めているため、中古住宅市場の盛り上がりは不動産業界の浮揚に直結しています。このニュースは北米北東部のエリアにおいて不動産市況が活況になっていることを示すものと言って良く、今後の推移が注目を集めています。