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海外不動産投資コンサルティング

MARKET UPDATE

中国経済とオーストラリア不動産価格との関りについて

オーストラリア

2019.03.05

オーストラリアの不動産価格が下落

オーストラリアの不動産情報サイトrealestate.com.auによると、2018年のオーストラリア不動産価格は前年比で大幅に下落したとのことです。タスマニア州の州都ホバートでは前年比8.4%増と大きな伸びを見せましたが(AUD420,000=約3,318万円)、オーストラリアで最も不動産平均価格が高いシドニーでは5.9%価格を下げています(AUD840,000=約6,653万円)。その他、南部のメルボルンや西部のパースでも前年比で平均価格を下げています。
※タスマニア州はオーストラリア本土の南東にある離島です。ホバートはその中でも南側に位置していて、観光業が産業の多くを占めています。
シンガポールの経済紙The Straits Timesによると、特に約18ヶ月前から中国人投資家による不動産投資が減少しており、シドニー南西部の郊外であるペンズハーストでは、平均住宅価格が前年比で約20%下落しています。

中国人投資家のオーストラリア不動産投資が減速

オーストラリア連邦政府の外国投資審査委員会によると、2017年以降18ヶ月間の中国人投資家によるオーストラリア不動産への投資額は、127億ドル(香港の投資家からの投資額を含む)で、2015年の約310億ドルと比較すると、その投資額を大幅に減らしています。これは、オーストラリア政府が外国人による自国不動産購入に対して規制をかけ始めたことも要因ですが、中国当局による資本流出抑制政策も影響を及ぼしていると見られます。
オーストラリア政府は、長期滞在ビザを保有しない外国人は投資目的で中古物件を購入できないといった規制や、例えば新築の分譲コンドミニアム等であれば、全戸数の半分までしか海外投資家へ分譲してはいけないなどの規制をかけています。また、外国人による不動産購入に対して州ごとに税金が課されることになり、これも海外からの不動産投資を減速させる要因となっています。他方、中国政府は経済成長の伸び悩みに伴い、自国資本の海外流出に対して規制をかけています。
オーストラリア政府による海外投資家に対する数々の規制は、自国民による不動産の一次取得を促す目的で行われたものですが、今のところ狙い通りの効果はあまり表れていないと見られています。

中国経済とオーストラリア経済との関り

オーストラリアの輸出先は、その約3割を中国が占めており、逆に輸入額も全体の23%を中国が占めています(どちらも2016年統計による)。輸出入ともに中国が最も大きな割合を占めているため、中国経済の動向はオーストラリア経済へ大きな影響を与えます(ちなみに、同年統計で日本への輸出額は全体の約14%・輸入額は全体の約7%です。)。 オーストラリアは鉄鉱石や石炭などの資源を主な輸出品としており、アメリカの経済紙ウォールストリートジャーナルによると、2018年の中国によるオーストラリア産石炭の輸入額は対2017年比で約4%増加したものの、それ以外の分野ではほとんど需要を下げています。特に観光分野と教育分野においては、オーストラリアは中国からの恩恵を受けてきましたが、2018年にシドニー空港を利用した中国人は、2017年と比較して1割以上少なくなっており、どちらの産業分野も低迷気味です。

米中の貿易摩擦は中国の経済に大きく影響していますが、現在二国間で貿易交渉が行われています。3月27日前後に首脳会談にて調整が行われる見通しとなっていますが、この交渉結果もオーストラリア経済へ影響を及ぼす遠因になる可能性があり、交渉の行方に注目が集まります。

※オーストラリアドルと日本円との為替レートについては、3月3日時点のレートを参照しています。