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海外不動産投資コンサルティング

MARKET UPDATE

中国人投資家のアメリカ不動産投資が減速

アメリカ

2019.02.15

中国人投資家のアメリカ商業用不動産投資が減速

アメリカ商業用不動産の調査会社であるリアルキャピタルアナリティクス社の調査によると、2018年第4四半期の中国人投資家によるアメリカ商業用不動産の投資額は、売却額が購入額を8億5,400万ドル上回った(売り越した)ことがわかりました。中国人投資家のアメリカ不動産売り越しは3四半期連続となっており、中国人投資家によるアメリカ不動産投資は減速している様子がうかがえます。

なお、2018年通年で見た中国人投資家によるアメリカ商業用不動産投資は26億3,000万ドルの買い越し(購入額が売却額を上回った)となっており、2018年の第2四半期以降、急速に売り越しが進んだことがうかがえます。
また、2018年通年の買い越し額は、ピークであった2016年(約191億ドル)の約7分の1の金額となっており、この3年間で投資額が著しく減っています。

中国政府による資産流出抑止政策

中国の通年GDPは2018年度で6.6%となっており、ピークであった2010年から4%程度減少しています。中国政府は、主にGDP成長率の鈍化を背景とする資産流出抑止政策を推し進めており、特にアメリカ不動産へ多額の投資を進めていた複数の大手企業に対して投資拡大計画を見直すよう圧力をかけています。
これまでは主にニューヨーク・ロサンゼルス・サンフランシスコ等へ中国人投資家の投資が集中していましたが、こういった政府の政策や米中貿易摩擦等の影響により、上記のようなアメリカの中でも不動産価格の高いエリアに位置する不動産が多数売却されており、売り越しへつながっているものと見られます。

他方、アメリカの不動産仲介大手であるクシュマン・アンド・ウェイクフィールド社によると、それでも一部の中国人投資家はまだアメリカの不動産投資に関心を持っているとのことです。ただ、これまでの傾向としては高層ビルやステータスの高い物件が特に好まれていたものの、最近では、小規模な店舗や倉庫などステータスは無くても確実に運用益を見込める物件が好まれる傾向が強いとのことです。

国別アメリカ不動産の購入額に変動

リアルキャピタルアナリティクス社が実施した別の調査によると、2018年の国別アメリカ不動産購入額は、一番購入額が大きかったのはカナダで440億ドル、2番目に大きかったのはフランスで89億ドルとなっており、その差は約5倍です。なお、中国は、2016年は国別購入額が1番大きかったものの、2018年には4番手(住宅用不動産購入額も含めた全体の購入額は64億ドル)となっています。

また、不動産調査会社CBREによると、日本人投資家の海外不動産購入額は2017年時点で約27億ドル、そのうちアメリカ不動産購入額は約23億ドルとなっており、アメリカ不動産購入額は海外不動産投資額全体の約85%を占めています。アメリカ以外では主にイギリスやベトナムなどが投資先として選ばれています。

リーマンショック以降、アメリカ不動産は長期的な値上がりを続けており、不動産価格中央値は既にリーマンショック前の水準を大きく上回っています。これは、中国人投資家がアメリカ不動産を買い漁っている影響も大きいとする考え方が一般的でしたが、この3年間で中国人投資家はその投資額を大きく減らしており、はっきりと流れが変わってきています。こうした中で、アメリカの不動産市場が今後どのような動きを見せるのか、注目が集まっています。