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2017.10.05
マンハッタンで最大級の高層ビル開発
2017年9月1日、三井不動産はマンハッタンのハドソンヤードにおける高層ビル開発事業に参画すると発表しました。三井不動産は既に同じハドソンヤード地区における高層ビルの開発事業を進めていますが(2018年完成予定)、今回はそれに続く「グローバルポートフォリオの旗艦物件である」と同社のニュースリリースに記載されています。
付加価値の高い最新鋭のオフィスビルの完成は2022年
現地のメディアでも”NYC's Most Expensive Office Building”(ニューヨークで最も高額なオフィスビル)と表現され話題を集めている今回の開発は、延床面積約260,000m²とマンハッタンにおいても単体のオフィスビルとして最大級の規模を誇ります。地下鉄駅直結のロケーション、ビル正面エントランス側に広がる公園、複数の専用ロビーエリア、LEED認証取得を前提とした環境性能に加え、マンハッタンでは希少な車寄せと一定台数の駐車場を具備するなどの強みをもつ、最新鋭のオフィスビルとなる予定です。
総事業費は約4,000億円、9割の事業シェアを獲得している三井不動産は2022年の完成後も長期保有を検討しているという事です。アンカーテナントの一つとして、世界最大の資産運用会社であるブラックロックと賃貸借契約を締結しており、本社として利用されることが既に決まっています。
ハドソンヤード地区とは?
ハドソンヤード地区とは、ハドソン川沿いの広大な再開発地区の総称です。広さは約11ヘクタールで、米国の歴史上でも最大の民間不動産開発事業地区と言われています。2005年にニューヨーク市議会から区画整備が承認されたこのエリアは、全米有数のデベロッパーであるRelated Companiesおよび、カナダで最大のデベロッパーであるOxford Properties Groupがマスタープランを描き開発を主導しています。
今後続々とオフィスビルが完成していきますが、既に様々な業態の企業がハドソンヤードのオフィスビルのテナント契約を進めています。(コーチ本社、ロレアルアメリカ、SAP、KKR、ボストンコンサルティング、タイムワーナー本社など)また、高級レジデンス、高級商業施設、高級ホテル、公園、美術館、学校等の開発が予定されています。2015年には既に新駅(34th Street-Hudson Yards)が開業しており、チェルシー、ミッドタウンなど周辺地域の人の流れを大きく変えつつあります。
強みの複合開発力を活かす
米国では一部で不動産バブルへの懸念も指摘されていますが、オフィスの供給が少なく安定した賃料収入が見込めるニューヨーク・マンハッタンのオフィスへの投資に関し、同社は東京に比べてリスクは小さいとみています。三井不動産が日本、アジア、ヨーロッパなど世界各国で行っているミクストユース型の複合的な街づくりのノウハウを、ハドソンヤード開発の付加価値向上に活かします。
三井不動産は中期経営計画(2017年が最終年)で5,500億円を海外に投資する方針を掲げていましたが、実績ベースで5,700億円になる見通しです。今年は既に台湾、フィリピン、ワシントンDC、そして今回のニューヨークと、世界各国で事業を拡大している三井不動産の海外展開が今後も注目されています。
記事提供:三宅美子(Yoshiko Miyake)