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海外不動産投資コンサルティング

MARKET UPDATE

Household debt has risen to record levels
米国の家計債務が過去最高に

アメリカ

2017.06.27

家計債務は過去最高の14兆6,000億ドル

FRBが発表した報告によると、今年の1月~3月期の家計債務は過去最高の14兆6,000億ドルとなりました。これは2008年の金融危機の際の家計債務を上回ります。
住宅に関連するいわゆるサブプライムローンが再び米国の金融危機の引き金になるのか?と思えるような数字ですが、実は米国の住宅ローンの残高は2008年のピークを大きく下回っています。金融危機以降、融資基準がかなり厳しくなったことが主な原因です。


学資ローンの急増

ではアメリカの国民はどんな債務を抱えているのでしょう。近年最も伸びているのが、学資ローン残高です。授業料が毎年上昇していることに加え、大学や大学院への進学者が増加していることが背景にあります。学生ローン残高は現在、約1兆3,100億ドルに及びます。これは自動車ローン残高(約1兆1,600億)を上回る水準です。


高額な年間平均授業料

5月17日のMARKET UPDATE 「米国ミレニアル世代がついに住宅購入を開始」でもご紹介をいたしましたが、アメリカの大学生は半数以上が奨学金などの借金を背負って卒業します。

アメリカの国公立大学の平均的な年間授業料は、約90万円前後というデータがあります。約47%の学生が、奨学金を利用しているそうです。4年生大学であれば卒業後に360万円の借金がある状態です。

さらに、アメリカの私立大学の学生の平均的な年間授業料は、約300万円前後と高額になります。ハーバード大学やスタンフォード大学のような名門私立大学では、年間400万円以上の授業料が必要です。私立大学でも半数上の学生が奨学金を利用します。4年で卒業する学生は1,600万円の借金を背負い社会人生活をスタートさせます。 アメリカ以外の国の年間平均授業料はイギリスが約150万円、オーストラリアが50万円、カナダが60万円という結果でした。アメリカは世界的にみても学費が高い国と言えます。


賃金上昇率の低下

学資ローンを背負って就職をした若い社会人に現在追い打ちをかけているのが、賃金上昇率の低下です。米国のこの1年の賃金上昇率は2.5%~3%とわずかな水準にとどまっています。失業率がほぼ同じ水準だった金融危機前の賃金上昇率は4%前後でした。
大学を卒業するためにローンを抱え社会人になっても、給与が思うように上がらないという事態に多くの若者が直面しています。


倹約志向の高まり

家計全体の債務残高は上昇していますが、個人レベルでは倹約志向も高まっているようです。現在、クレジットカード債務残高は7%と比較的低水準にとどまっています。金融危機時は9%台だったこの指数の低下が、個人が債務を敬遠する傾向が強まっている明確な兆候だとする専門家もいます。

アメリカ全体の家計債務は上昇していますが、その内容や米国民がおかれている環境は金融危機前とは大きく異なります。学資ローンを抱えた若者をはじめ、人々はお金を借りることに慎重になっていると言えるかもしれません。今後米国の個人消費がどう推移していくのかが注目されます。

記事提供:三宅美子(Yoshiko Miyake)