お問い合わせはこちら
2016.02.08
2016年2月2日のWall Street Journalによると、英国の今年の個人消費を予想する上で、やや不安な兆候がみられるとのことです。
家計の支出が所得を上回る現象が続く
英国の家計の支出は、所得を上回る傾向にあります。一番の原因は住宅価格の上昇です。英国全体での住宅価格は2012年以降、約21%上昇しました。住宅を所有している人々の間で、「自宅の価格が上がっているから、もっと借金ができる」という気運が広がっているようです。貯蓄率は過去最低となりました。個人消費が活発で良いように思えますが、これを危険な兆候だとエコノミストは考えます。不動産というのは流動性に限界があるからです。もし急にお金が必要になった場合、自宅の価値が上がっていてもすぐに現金を引き出すことはできません。
小さな景気の減速でも消費がマイナスに
今後世界情勢がますます不透明になり、英国の人々が現金の必要性を感じはじめた場合、小さな景気の減速でも大きな個人消費の低下につながる恐れがあります。家計の健全化傾向(= 支出 < 所得)が見られるアメリカ、フランス、ドイツなどと比較をすると、英経済は他の先進国と対照的な状況と言われています。
ベレンベルク銀行のエコノミスト曰く、英国の人々は、住宅価格が上昇局面にある時は個人資産をより楽観的に考えるそうです。「英国の消費は、不動産価格の動向に影響を受けやすい」と言えるでしょう。
新たな英国の不動産投資の対象とは?
一般的な住宅価格の上昇が続く英国ですが、今リタイアメント層をはじめとする「手堅い不動産投資を好む人々」に支持されているのが、学生用のコンドミニアムへの投資です。イギリスは毎年世界各国から留学生がやってきます。学生の数に対して、学生寮などの施設が圧倒的に不足している環境を受け、大学の周りに新築の学生用コンドミニアムが供給されはじめました。賃貸のターゲットが明確で景気の影響も受けにくいことから、世界からも注目を集めています。英国の今後の不動産投資の方法は、厳選していく必要があるようです。
☆Today's English Word!
【アキレス腱/弱み】 Achilles Heel
日本でもおなじみの弱点を表す「アキレス腱」は、英語でも同じ表現が用いられます。ちなみにギリシャ神話が由来です。
written by Yoshiko Miyake