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海外不動産投資コンサルティング

MARKET UPDATE

Prime Residential Market Trend in London
英国における高級住宅の賃貸マーケットトレンド

イギリス

2017.07.26

ロンドンの高級住宅の賃料は緩やかな下落傾向に

イギリスの不動産大手、Savillsが2017年7月に発行した調査レポート(Prime residential rents)によると、ロンドンのプライムエリアと呼ばれる中心地の賃料は、ゆっくりとしたペースではありますが下落傾向の局面にあるという事です。この1年では約5.4%程度、家賃が下がっています。高級住宅の月々の賃料は5000ポンド以上、10,000ポンド以下が中心です。ロンドンのプライムエリアとは、例えばメイフェア、ケンジントン、ナイツブリッジ、チェルシーなどが含まれます。

これまで高級賃貸住宅に住んでいた人たちが、立地などを変えてリーズナブルな物件にダウンサイジングをする動きも出てきているそうです。将来の継続雇用に対する不安や、最近の英国の政治、経済の先行きの不透明感が主な原因だとされています。


リロケーション費用は上昇

高級住宅の賃料は徐々に下落傾向にありますが、最近は英国のEU離脱巡る動きをきっかけに、一部のセクターからエグゼクティブがロンドンに越してくるという新たなトレンドがあるようです。Savillsの法人サービスチームの報告によると、大手金融機関がエグゼクティブをロンドンに転勤させており、その転居(リロケーション)にかける費用が昨年より約13%上昇したという事です。大手企業では英国のEU離脱などに伴う中期的な混乱に備え、優秀な人材を家族ごとロンドンに転勤させているようで、同じ傾向が外交官等のコミュニティなどでもみられるそうです。


評判の良い学校の周辺は家賃が上昇

家族で移り住む人々が一番気にするのが、やはり子供にとってよい学校があるかどうかです。ロンドンでも、アメリカンスクールがあるセントジョンズウッド(St. John's Wood)や、ジャーマンスクールの近隣の家賃は上昇するという現象が起こっています。評判が良い学校の周辺は家賃が下がりにくい事がわかるよい事例です。


英国の保守党政権の混乱を受けて

6月15日のMARKET UPDATE「メイ首相、単独過半数の議席失う」でも取り上げたように、6月の総選挙でEU離脱を進めていた保守党の求心力が低下し、メイ首相の政権は混乱が続いています。離脱交渉はEU側の立場が次第に強くなってきました。


英国の将来の不確実性が増し、生活を見直してダウンサイジングを進める層がいる一方で、混乱期を乗り切るために企業から転勤を命じられた人々も存在します。世界各国の投資家にも人気の不動産投資先であるロンドンのプライムエリアですが、賃貸マーケットが今後どうなっていくのか注目されています。

記事提供:三宅美子(Yoshiko Miyake)