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2017.05.02
約3年前倒しの解散総選挙を発表
2017年4月18日、英国のメイ首相が総選挙の前倒しを発表しました。2020年5月に行われる予定だった選挙を今年の6月8日に実施するという方針が示され、約3年前倒しの決断に英国国民はもちろん、世界中が驚きました。
メイ氏は昨年の7月、ブレグジットに反対だったキャメロン前首相が国民投票で敗北し辞任した事を受け保守党党首となり、首相の座につきました。「国民から選ばれた首相ではない」という批判を受けてきたメイ首相が6月の解散総選挙で勝利することで影響力が増し、追い風にのって強硬離脱(ハードブレグジット)を推し進めることができるのではないか、という見方が広がっています。
ポンド急騰の背景
4月18日はこのニュースを受け、総選挙で保守党(与党)の基盤が強くなるという見方が広がり、ポンドは昨年12月以来の高値をつけました。
もし今回6月の選挙で続投が決まれば、メイ首相はその後少なくとも2年間は選挙を意識せずEU離脱協定に専念できるため、ブレグジットに関連する混乱のリスクも低下したと評価されています。
大胆な賭け
逆にもし選挙で苦戦するようなことがあれば、与党の交渉力は大幅に低下してしまうでしょう。前倒しの総選挙はEU離脱へ邁進したいメイ首相の大胆な賭けだと言われています。ブレグジットと、その後の成長を見据え解散総選挙に踏み切る首相の決意は以下のようなコメントにも表れています。
“We need an election now to secure the strong, stable leadership the country needs to see us through Brexit & beyond.”
ブレグジット後の英国が目指すもの
英国経済は安定していますが、成長の鈍化を表す経済指標があります。たとえば、英大手不動産会社のSavillsは、2017年の第一四半期の住宅価格の伸びについて「ゆるやか」であったと発表しました。また、ブレグジットが原因で短期的には不動産市場の成長はやや鈍るかもしれないと結論づけています。しかし一方で、2021年までのスパンで考えると住宅価格は伸びていくだろうと予想しています。
メイ首相が今年6月の選挙によってEU離脱反対派を一掃し、強く安定したリーダーシップを得ることができれば、ブレグジット後の英国の経済にも期待が高まります。投資をはじめとしたあらゆる資本が集まる中心地としての英国を目指したいメイ首相がどのような選挙戦を繰り広げるのか、世界が注目しています。
記事提供:三宅美子(Yoshiko Miyake)