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2016.03.28
中国の景気低迷の影響を受け経済成長が伸び悩んでいる新興国にやや明るい兆しが見えはじめているようです。新興国の動向を見る上でよく使われるMSCI新興国株価指数が1月下旬から17%上昇しました。
新興国の回復基調、原因は2つ
2016年3月15日のWall Street Journalでは、この一連の上昇の主な原因は2つあると分析しています。ひとつは、FRBが今後ドラスティックな利上げをする可能性が低くなり、ドル高傾向が緩やかになったことです。これによりドル建てで多くの債務を抱える新興国の債務返済コストが下落し、新興国企業への圧力が緩みました。もうひとつは、新興国が大量に輸出をしている相手国である中国の元の相場がやや落ち着いてきたことです。中国では数ヶ月間1,000億ドル超の資金が流出していましたが、2月は286億ドルにとどまりました。
【各国の明るい兆し】
各国の状況も一部ピックアップしてご紹介します。マレーシア、ベトナム、タイのニュースです。
マレーシア
マレーシアの大手デベロッパーであるMah Singが、マレーシアの景気は底を打ち、回復トレンドにあるとの見方を発表しました。政府による非居住者の投資規制に反対しロビー活動を続けてきたMah Singですが、自社のコンドミニアムの販売状況などから考えるとマレーシアの景気は中長期的に回復してきていると考えています。(3月17日のThe Business Times Singaporeより)
タイ
タイのCharoen Pokphand Groupをはじめとした不動産投資会社は、ショッピングモール開発への投資を強化しています。Siam Developmentのショッピングモール拡大事業へ約1700億円の投資をすることを発表しました。タイそのものの経済はやや停滞局面ですが、高級コンドミニアムと、リテール業の需要は底堅いとのことです。(3月24日のThe Business Times Singaporeより)
ベトナム
ベトナムでは、国外にいるベトナム人が自国のビジネスや不動産に投資をする動きが活発になってきています。昨年非居住者への不動産購入規制が緩和され、他の新興国と比較すると経済が堅調なことから、国外に居住するベトナム人の自国への投資が大きな経済効果を生み出しています。米国だけでも1.5億人のベトナム人およびその子孫が住んでいると言われ、その影響力が注目されています。(3月24日のThe Business Times Singaporeより)
このように明るい兆しがある一方、新興国の長期的な見通しはまだ複雑のようです。FRBや中国銀行等の今度の動きによっては、すぐに株価や通貨は下落してしまうかもしれません。今後の通貨や株価の動きが注目されています。
☆Today's English Word!
【短期的にみると】 In the short run
短期的な視点で考えると~のような形で、文の最初で使うことが多い表現です。In the long runで、「長期的にみると」という反対の意味になります。
(例文)In the short run, a stable China removes some of the pressure on emerging markets.
(訳)短期的にみると、中国経済が安定したことで新興国への負担が軽減した
written by Yoshiko Miyake