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MARKET UPDATE

The largest-city development in London by Mitsui Fudosan
三井不動産によるロンドンの大規模「街づくり」開発

イギリス

2017.05.10

日系企業への影響を最小限に

4月28日、安倍晋三首相はロンドンで英国のメイ首相と会談し、英国のEU離脱後も欧州が強い結束を維持することに期待を表明しました。また、現地の日系企業への影響を最小限にとどめるため、離脱交渉に関する情報開示などを要請したと言われています。

現地の日系企業といえば、三井不動産株式会社が英国子会社(英国三井不動産)を通じて行っているロンドンの大規模再開発事業は、昨年から多くの注目を集めています。


英国公共放送局BBCとその周辺の再開発

英国現地でも、“A huge area of west London is being redeveloped by a partnership between Japan and Britain.”と報じられ注目を浴びているのは、1960年に竣工した英国公共放送局『BBC』の建物とその近隣地を、住宅、オフィス、ホテルなどから構成される複合施設へ生まれ変わらせる「街づくり」事業です。総事業費は約4千億円と推定されています。

BBCの建物全体および近隣地を含めた一体開発の敷地面積は東京ドーム2.6個分の広さとなるそうです。英国の大手不動産開発会社のスタンホープ社などと三井不動産が共同で特別目的会社(SPC)を設立し事業を手掛けています。


古い建物を残す文化

BBC放送局のビルは「BBCテレビジョンセンター」と呼ばれ、ドーナツ型で特徴的な建物は多くの市民に愛されてきました。その建物全体を可能な限り残しつつ、新しいデザインを取り入れて価値を創造していく計画です。

英国では「建物は古い方がより価値がある」とされる傾向にあり、歴史的な建物の外観を残し、内装のみ近代的にするという手法が街のいたるところで使われています。同様のコンセプトで記憶に新しいのは、テムズ川南岸にあるバタシー発電所の再開発です。1930年代以降に建てられたレンガ造りの火力発電所の外観を残し、その中を近代的にコンバージョンするという大胆なコンセプトの複合開発が数年前にスタートしています。Appleがこの開発地に建設されるオフィスに将来移転すると発表した事でも話題になりました。


開発地の特徴

今回三井不動産が手掛ける開発区域はロンドンのシティなどの金融街から電車で20分ほどの住宅地で、巨大ショッピングモールなども増え、人口の伸びも期待できるエリアです。ロンドンでは地下鉄が通勤などでもよく使われますが、2駅・3路線が利用できるとても便利な立地です。2016年4月に分譲住宅の本格販売が始まり、売れ行きはとても好調のようです。

オフィス賃料はロンドンの金融街と比較すると安くなるので、賃料を抑えたい IT企業や、ファッション、メディア企業などの誘致が予定されています。


街づくりのノウハウを海外に

日本国内の不動産事業は人口減少を受け中長期的な減速が避けられない中、三井不動産は海外事業に一段と力をいれています。

同社が国内で得意とする複合開発技術を海外に展開し価値を創造する事で、世界の不動産関係者、そしてロンドン市民から総合的な評価を得ることができるかどうか、引き続き注目されています。


記事提供:三宅美子(Yoshiko Miyake)