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海外不動産投資コンサルティング

MARKET UPDATE

各データから見るイギリスの現状について

イギリス

2019.02.25

イギリス政府は、2016年6月に実施した国民投票の結果を受けてEU離脱を決定しました。離脱時期は2019年3月末とされており、その時期が目前に迫ってきました。あくまでも合意の上での離脱を目指すメイ首相と議会との折り合いがつかず、先行き不透明な状況が続いていますが、これまでの間、イギリスの経済・不動産市場へどのような影響が出ているのかをデータから読み解きます。

失業率及び平均賃金

調査会社であるTRADINGECONOMICS.COMによると、イギリスの失業率は2013年頃から下がり続けています。2016年6月には5.5%前後であったものの、2018年11月には4%まで下がっています。
また、ガーディアン紙によると、イギリスにおける平均週給は2016年4月以降右肩上がりを続けており、2018年11月には527ポンドとなっています。なお、2016年4月の平均週給は495ポンドでした。

移民数の推移

イギリスのシンクタンクであるMigration UKの統計によると、2018年にイギリスへ流入してきた移民の数は273,000人でした。なお、2015年がピークで332,000人、2016年は248,000人、2017年は285,000人で推移しています。2015年から2016年にかけては約100,000人減りましたが、2017年にはまた増加しており、ここ数年の間、増減を繰り返している結果となっています。

ここまで失業率・平均賃金・移民数の推移を見てきましたが、少なくとも失業率と移民数との間に、相関関係は特に認められないと言えます。また、イギリスの経済紙ファイナンシャルタイムズによると、移民数が多い地域の賃金水準が低くなっているという事実も特になく、移民によってイギリス人の雇用が奪われているというEU離脱派の主要な主張は当てはまらないとのことです。

ポンドの値動き

ポンドの値動きとしては、2016年5月の月間平均円ポンド相場は158.39円、国民投票が行われた2016年6月は1ポンド=149.78円でした。EU離脱決定直後は10円近く値を下げています。なお、2019年2月20日現在では1ポンド=144.61円であり、現在の相場は、国民投票が行われた時期と比較して下がっていますが、下落幅は5円前後にとどまっています。ちなみに、直近の最安値は今年1月初めの135.35円ですが、その後は再び値を上げています。

不動産マーケットについて

TRADINGECONOMICS.COMによると、イギリスの住宅価格指数は上下動があるものの、長期的には2013年に入るころから右肩上がりで上がり続けています。EU離脱が決定された2016年6月以降もその傾向は変わらず、2018年12月には史上最高値を記録しています。

経済面及び不動産マーケットを顧みると、まだEU離脱に係る影響は表出していないと言えます。一方、EU離脱後の関税の問題などにより、拠点をイギリス国内から移転する企業が相次ぐ報道もされており、今後経済状況に変化が訪れる可能性は高まっています。
イギリスでの不動産投資に関しては、離脱後にポンドが値を下げた場合には、外国からイギリスへの観光はしやすくなるため、長期的なホテル投資などは有効です。また、イギリスは外国から大学へ進学する留学生が非常に多い国ですので、ポンドが値を下げた結果、学費が下がれば学生マンションも狙い目といえます。
専門家の間でも、EU離脱による経済的な影響がプラスに表れるのかマイナスに表れるのか意見が割れており、今年の3月末以降、イギリス経済がどのような動きを見せるのか注目が集まっています。