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6月 12
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最近、シンガポールの新聞紙上で、下駄箱住宅(Shoebox Home)論争が盛り上がっている。

下駄履きマンション(1階など低層部分がコンビニなどの店舗が入っているマンション棟)などという表現は日本語で業界用語としてあるが、下駄箱住宅とは、こちらでは50㎡以下の小振りな住宅のことを言う。昨今、シンガポールの住宅の高騰と、単身むけやカップル向けを想定した投資マンションの需要もあり、供給が急増しており、シンガポールのデベロッパーのトップがこの傾向について『非人間的住宅』と差別的な表現をしたのがきっかけで物議を醸し出している。

2週間ほど前、シンガポールの最大規模の政府系デベロッパーCapitalandのLiew 最高責任者が、50㎡以下の住宅が昨今マーケットに増えていることについて、『Inhuman(非人間的)な住居』だと発言したのが、発端と言われる。これに対し、シンガポールの民間のデベロッパーでShoebox Home 物件を多く供給しているOxley Holding のMr.Ching  代表は、若い人が家を出て、単身で住んだり、子供のいない若い夫婦などのミーズがあり、小型住宅を非難することに反対の意見を述べた。高級レジデンスを手がけるWintai Holding のCEO Mr. Cheng 氏も、Shoebox Home は、新しい商品であり、将来どういう普及をするかは不透明だとやや警戒をしている。政府も、あまりの急速な供給がある場合には規制をするという可能性も示唆している。

6月11日の新聞では、ことの発端の Capitaland もBedok Residence というイーストコースとの郊外物件で583戸のうち、37戸は50㎡未満の物件であり、他の11戸もほとんど50㎡をわずかに超える物件だったことが報道された。これに対して、同氏は『Shobox Homeは、『非人間的』という表現を使ったのは、語弊を与えたが、子供を育てる環境としては健康的ではないという意味で使った。本来はToo restrictive (非常に制限的な空間の)という表現を使うべきであった。当社では50㎡の物件はワンベッドルームをとしており、必ずしも非人間的な空間ではない』とかなり歯切れの悪いコメントを出した。

それにしても、この非人間的か否かの議論の前に、Shoebox Homeという表現自体にすでに差別的な意味が込められているような気がしてならない。シンガポールでは、住宅の専用面積が50㎡を下駄箱と呼ぶのなら、日本の20−30㎡のワンルームはいったいなんと呼ぶのであろうか?さしずめ筆箱(Pensil Case Hone)とでもよぼうか?

日本では、ワンルームと表現しているので、ネーミングからくる抵抗感はないと思うが、だれでも, Shoebox とかPensil Case と呼ばれれば、住んでいる住民は、良い気持ちはしないだろう。

 

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