preload
9月 08
このエントリーをはてなブックマークに追加

最近、シンガポールに視察に来る経営者、富裕層が増えています。

昨日お会いした愛知県の実業家(40代)が大学生の息子さんを連れて、数日間、都市(国)としてのポテンシャルや、投資資産分散先としてのポテンシャル、海外での事業展開の可能性などを検討のため、シンガポールを視察しておられました。

その結果として、まずは拠点作りから進めることを決め、シンガポールに設立する会社名義で市内中心部に住宅を購入することを決定されました。リークワンユー宅に近接する低層の超高級レジデンスです。

ご本業は、厳しい日本の経済環境の中でも順調に推移され、今後も安定的に収益は見込まれる段階にあるそうですが、それでも現在の日本の財政問題を考えると、日本円の資産のみでは不安でしょうがないとおっしゃいます。

この実業家の発想は、早晩円安に向かうときが来る、その時、中国を中心としたアジアマネーや禿鷹ファンドが、バーゲンセールとばかり日本に本格的に上陸してくるので、その時に備えて自分の会社や事業、資産を守る為には、今の円高のうちに円資産を一定割合外貨で運用しておきたいと言うものです。まさに自己防衛です。その為には、シンガポールに拠点を作り、シンガポールドルベースの資産を中心にマネーの出稼ぎをしておこうということのようです。(前回のブログと、日経ビジネスの9月5日号42ページの記事ご参照)

http://www.stasiacapital.com/archives/1548

 

確かに、ここ2−3日のシンガポールの新聞を見ていても、シンガポールのポテンシャルを伺える記事があります。

世界経済フォーラム(WEF)が発表したGlobal Competitiveness(国際競争力)ランキングで、シンガポールは昨年の3位から1つランキングをあげ、2位にランクされました。ちなみに、1位は昨年に続きスイス、3位は昨年2位のスエーデン、4位フィンランド、5位アメリカと続きます。

ちなみに日本は昨年の6位から9位に後退。アジアでは他には香港が11位(昨年11位)、台湾13位(昨年13位)、マレーシアが21位(昨年26位)、中国26位(昨年27位)、インド56位(昨年51位)などです。

また、10位以内でランクを上げたのは、フィンランド4位(昨年7位)、オランダ7位(昨年8位)デンマーク8位(昨年9位)イギリス10位(昨年12位)で、北欧がランキングをあげています。

このランクングは2004年から発表されていますが、国を12のカテゴリー(革新性、市場規模、インフラ、製造環境など)で評価をしているものです。

また、昨日は昨今、ドル安やユーロ安の中で、リスク回避通貨として円とともに高騰していたスイスフランに対し、スイス国立銀行は、これ以上のフラン高を阻止する為に1スイスフランに対し1.2ユーロを上限とする為替キャップをつけると発表しました。

これにより、リスク回避資産としては、金、円、シンガポールドルに流れが出て来るとの見方がでてきているとう報道がされています。(Business Times 2面)

シンガポールドルは、金利政策をとらず、為替コントロールで金融政策をコントロールするシンガポール当局の政策のもと、インフレが懸念される今、さらなる通貨高が見込まれています。最近セミナーでも使っている下の表の通り、購買力平価で見た場合には、主要通貨の中で米ドルに対し、まだ割安なのは、現在は、人民元とシンガポールドルであることからも、やはり中期的にもシンガポールドルは強くなると見られています。逆に、フランや円は、既に相当割高であり、円においては為替介入が控えていることからこれ以上、買われにくいと見るのが一般的です。また、財政再建の道筋ができなければ、今後はむしろ、日本の財政破綻に目がいく可能性があることから円安に向かう流れもそう遠いことではないでしょう。



また、昨日のニュースでは、アジアの株式市場の軟調な展開の中、国策ファンドであるTemasek Holdingsが香港上場の中国建設銀行の株を買い戻したと言う記事がありました。8週間前には、大量保有報告書でそれまでの保有比率を大幅に下げ、話題になっていたところ、売却時よりも20%下がったと見るとまた大量に買い戻して8%をこえる持ち分に復帰したということです。なんとヘッジファンドのような動きをする国策ファンドでしょうか?

仮にも中国4大銀行の一画である中国建設銀行の大株主がマーケットのすきを狙って、リターンの極大化を狙って大量にトレードするというセンスは、ある意味では資本市場としては当然のことかもしれませんが、日本的な株の持ち合いになれた感覚からは、驚きです。

いろんな意味でシンガポールに身を置くことは我々日本人に取っては勉強になるかもしれません。

 

今回は、予告を変更してシンガポールの話題でした。

 

Related posts:

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントの受付は終了しました。