19日付のマレーシア紙ニュー・ストレーツ・タイムズ(経済4面)は、インドネシアの中央銀行が、新たに金融機関の外資規制に乗り出すことを検討していることを報じました。この規制が実施されれば、マレーシア最大規模のCIMBグループやメイバンクなどのインドネシアに進出している銀行に大きなインパクトを与えることは間違いないでしょう。
CIMBグループはインドネシアのCIMBニアガに約97%、メイバンクはバンク・インターナショナル・イン ドネシア(BII)に95%を出資しているため、それぞれインドネシア子会社の株式の一部を処分する ことが必要になり 収益への影響が懸念されます。たとえば、CIMBグループの今年第1四半期の税引き前利益の27.2%は インドネシア小会社からの収益が寄与しているようです。 インドネシアの中央銀行は先に、外資の保有比率を50%未満に制限することを検討してい ると明らかにしています。(つまり、外資の出資上限は現在の99.9%から50%未満になる可能性があるわけです。)
ただし、こういう外資への開放に逆行する規制は、海外投資家から相当の反感を買う可能性が大きく、すぐに実施されるかどうかについては、見方が分かれています。インドネシア株式市場への影響も考えられ、実施までは紆余曲折がありそうです。
中国なども、政策がころころ変わるため、海外の投資家から政策変更リスクが指摘されます。インドネシアも海外不動産が外国人に解放される(現在は賃借権25年以降更新して70年が最大ですが、今後所有権を解放するという見方がありました)というような報道も昨年はありましたが、未だ実施の目処はたっておらず、どうもまだ国の方針が見えない、あるいは急速に変わるという新興国リスクがあることだけは事実のようです。
また、19日付のインドネシア紙インベスター・デーリーによると、首都ジャカルタの外国人向け 賃貸住宅の賃料が上がっているようです。ルピア高ドル安の影響ともあるようですが、年初以降の半年間で、戸建ては月額約100~200ドル、アパートも約6%上昇している。 外国人向けの住宅は南ジャカルタのクバヨランバル、ポンドックインダ、クマン、チプテなどに多いのですが、ただ、ク マンやチプテなどに住む外国人は、付近のアンタサリ-ブロックM間の高架道路の建設工事に伴う交通渋滞 を避けるため、中心業務地区(CBD)や娯楽施設、学校に近いクバヨランバルやポンドックインダへ移っている模様です。とにかく、ジャカルタの交通渋滞はまさに世界一と言われ、今後この渋滞が解消する目処はたっておらず、経済の成長にも大きな影響をあたえると見られています。不動産の上昇は、人口増加、経済成長、インフラ整備と常日頃セミナーなどで申し上げていますが、インフラ整備が遅れると、渋滞をさけるため、CBDの物件の賃料、および価格が上がる(逆にこれまでの外人居住区の賃料や価格が下落する)などの影響もでてきます。発展途上国の不動産投資は都市計画の進捗情況とスピード感を的確に読む必要がありますので、単に経済が成長しているというだけでの判断は禁物です。