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2月 17
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昨日から上海に戻りました。今回は2泊3日です。

2000年からほぼ右肩上がりで来ていた中国不動産もいよいよ政府のバブルつぶしの本格化により価格調整は余儀なくされそうです。

上海不動産を例に挙げると、2000年から2008年まで年平均14%の上昇を記録していますが、リーマンショック翌日から金融緩和にはいり、金利の大幅下げや税制面の後押し(譲渡税の特例)などの不動産市場救済策や大型景気刺激策(4兆元のインフラ投資予算化など)が2008年後半に発表され、2009年は、対前年比約50%増という急激な上昇となりました。そこで、2010年からは政策を一転、税制面の優遇の廃止、貸し出し抑制(預金準備率の引き上げ、ローン掛け目規制、優遇金利の廃止)を行い、市場は一挙に先高感が後退し、昨年4月から8月までは上昇に歯止めがかかり調整局面を迎えていました。ところが、夏以降政府の規制に打ち止め感が台頭し、再び取引が活性化し始めたのです。

2005年7月から2008年まで約20%切り上がってきた人民元はこの2年ほど再び米ドルにペッグ(1USD=6.8元)していましたが、昨年6月から再び緩やかな上昇に向かっています(現在1USD=6.5元前後)。中国にとって、人民元の為替操作は諸刃の剣です。世界金融危機に端を発した世界同時不況に際し、輸出主導経済の中国にとっては、世界的な通貨安競争の中、為替水準を維持する(むしろ米ドルとペッグしていることにより、通貨安をエンジョイした。)ことにより、経済成長を維持することができました。世界経済を牽引するという名目で4兆元のインフラ投資を発表するなど、世界同時不況に喘ぐ先進国に対し、効果的なアナウンスメントをおこない、米ドル下落による人民元の実質切り下げも、非難の的にならずにきた面も否めません。

一方、人民元の為替操作は外貨準備を引き上げ、市中のマネーサプライを押し上げる効果があるため、国内の金融緩和策と相まり2009年から資産バブルとインフレが発生したのはこの要因が大きいのです。

中国が今の為替管理政策を続ける限り、この問題は避けて通れず、国内の資産バブルやインフレは押さえなければ、格差社会が社会不安を引き起こすリスクが高まります。

チュニジアやエジプト暴動を見ている中国共産党の一番の関心は、まさにこの点にあると想像に難くありません。

不動産に関して言えば、昨年10月に沿岸部各地(上海、北京、天津、大連、杭州、広州、深せんなど)で今後1世帯で1戸しか購入できないという規制が出たため、今後間違いなく高額不動産市況は調整すると睨んでましたが、上海、北京に至ってはつい最近現在2戸以上不動産を保有している戸籍保有者は、今後一切上海、北京では購入できないという社会主義国家でしかあり得ないサプライズなニュースが出ました。

この政策は、転売投機目的で何戸も保有している富裕層の出口戦略に大きな影響を与えるでしょう。

今回の中国の不動産バブルつぶし政策は、本気です。

つづく

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