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8月 11
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本当に久々の投稿です。

7月18日から27日まで、Manchester , Liverpool, Sheffield, Leeds, York、中部のBirminghamとLondonを回った。

今回の目的は、主にNorthern Power Houseと言われる英国の北部の主要大学学園都市へのBrexitの影響、特に学生アコモデーション不動産マーケットの影響について状況を確認することである。

Northern Power Houseとは、英国政府が英国北部の経済活性化の目的で、北部主要都市(Manchesterを中心に、Liverpool, Sheffield, Leeds,York, Newcastle などを指す)に先端技術開発の産学研究費や、交通インフラ整備の予算を投下する保守党のキャメロン政権としての重要経済政策である。
実際には、この政策を掲げた背景には、ロンドンや南部経済圏に一極集中する英国の経済構造を変革し、かつては産業革命の中心であったマンチェスターを中心とした北部都市を、交通インフラの整備で有機的に結びつけ、英国の財産である世界中から集まる優秀な頭脳を活用し、最先端技術開発をバネに英国に第二の産業革命を起こす狙いがある。
また中国を象徴とした世界中の企業進出および投資マネーを、北部都市に呼びこむ狙いと効果も期待される。
実際、2013年から中国企業とマンチェスター空港会社のジョイント・ベンチャーで拡張整備プロジェクトが始まっている。昨年11月には、中国の習近平主席の英国最終訪問地がマンチェスターであり、この訪問がきっかけで、北京とマンチェスター間に海南航空が直行便の運行を開始した。6月23日の英国のEU離脱の国民投票結果は、当初の予想とは反したサプライズであり、世界経済の波乱要因と受け止められ、投票結果後の世界の株式市場や為替マーケットにかなりのインパクトを与え、イギリスの国の格付けも2段階下がるなどの影響をもたらした。不動産マーケットに関しては、離脱発表後から、ロンドンの金融都市としての地位が下るという見方から商業REITの解約が相次ぎ、解約に応じられないオープンエンド型のファンドは解約を停止するなどの混乱が起きている。確かに、離脱が決定すれば、ロンドンでのオフィス不動産市況にはマイナスと判断されるわけで、オープン型私募REITファンドの解約は、流動性の低い実物不動産マーケットよりも比較的流動性を有しているため、機関投資家からの解約が殺到したと見られる。

一方、不動産ファンドが解約に応じたくても、このような突発的な事態発生を想定しておらず、短期間に資金化に応じることができず、解約停止に至っている。
実際には離脱交渉は正式にはじまったわけでもなく、ロンドンのオフィスの賃貸借契約は、現在通常5年から15年で、賃貸借契約期間においては5年に一度の賃料更改時には、同じかそれ以上の賃料でしか更改出来ない条項(upwards only clause)が、ほぼ全てで入っているため、実物マーケットにおいては、まだ投げ売りのような売り物件が出ているわけではなく、不動産価格が明確に下落しているという事実は顕在化していないというのが、現地での不動産仲介会社の見方であり、英国リートの解約問題は、かなり過剰反応といえるのはないだろうか?
ただ賃貸借契約の平均残存期間が短い物件は、今後売りに出される可能性が増えてくるのではないかという懸念はあり、実際に空いた物件が多くなると、賃貸床供給過多との判断により不動産価格は徐々に下がっていくことも考えられる。もともと2010年以降5年間上昇を続けていたロンドンの不動産価格が調整局面にあったことから、当面下押しする英国経済の動向にロンドンのマーケットは弱含むとみるのが、妥当なようである。
ただし、リーマン・ショック後のロンドンマーケットの急回復で経験したように急速なポンド安は、海外からの投資マネーが入り、マーケットを下支えするという見方もできる。1年前に比べ、30%も下落しているポンド安は、企業買収など、海外からのマネーが入りやすくなる。
事実、今月18日、私がシンガポールからロンドンを経由してマンチェスターに到着した日のBBCニュースで、まさにソフトバンクが、240億ポンド(約3兆3000億円)でケンブリッジに
ある半導体設計大手ARMを買収すると発表している。 また、視察中の7月21日には、中国企業(四川Guodon建設グループ)がSheffieldに、今後60年間で、10億ポンドの投資を行い、当面3年間では市中心部にて2億2,000万ポンドの不動産開発投資(5スターホテル・大型ショッピングモール・オフィスの複合開発)を行うと発表した。
Sheffieldは、もともとは鉄鋼業を中心として産業革命後に英国経済を牽引した街であるが、現在はSheffield大学を中心に学生及びその関係者で6万人いると言われている学園都市で、これといって観光資源も無いため町の中心部には、高級ホテルや洗練された商業施設がなく、どちらかというと垢抜けない田舎町の風情という印象である。
まさに私がチェックインしたSheffieldのビジネスホテルでBBCのBreaking Newsが、Sheffield市と中国企業とのパートナーシップ報道を伝えていたのには、そのタイミングの妙に驚いた。
City Councilの報道完のインタビューによると、英国離脱の選挙結果を受け、英国の経済の先行きを不安視する中でのロンドン以外の英国の都市で、最大の投資が決定されたことは、画期的な事だと評している。(to be continued)

BBC報道の記事は、以下参照。

http://www.bbc.com/news/uk-england-south-yorkshire-36846472

 

 

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