preload
3月 06
このエントリーをはてなブックマークに追加

低税率国で知られるシンガポールで増税の論議がされています。

3月6日付けBusiness Times 1面で、副首相兼財務大臣が『将来的にあらゆる税金をあげる余地があり、現状の税率が変わらないという保証はない』と発言したことを大きく取り上げています。

シンガポールは個人所得税最高税率20%、法人税率18%と世界でも有数の低税率国として知られ、世界中の富裕層が所得税対策に移住をしていることでも知られています。

このシンガポールで、現在議論されているのは、この高額所得者に対する税率引き上げではなく、むしろ、中間層にも負担をあげるという議論になっています。同誌によると、シンガポールの中間所得層の税負担率は、諸外国に比べても格段に低いと分析しています。アメリカの中間層の所得に対する税負担率を100としたときのシンガポールの中間層の負担率は29で、シンガポールと同様に低税率で知られる香港で55、イギリスが159、ドイツが160、北欧諸国が平均220に比べても格段に負担がすくないという根拠です。

一見、シンガポールは財政が健全であるというイメージがある国ですが、すでに出生率は日本以下で元々の国民の少子高齢化は進んでおり、社会保障費の将来負担や、唯一の資源と言われる人材に対する教育の国際競争力を維持するための財政支出を充実させるために、あらゆる財源を見直すという論理です。真っ先に検討されるのはGST という売上税(現在7%)のようですが、日本も来月から8%になりますが、シンガポールでも早晩上がることになりそうです。所得税のテーブルの見直しとか法人税も含め見直しの対象になることも十分考えられます。

不動産に関しては、Cooling Measure(加熱防止策)が効を奏し、昨年の不動産価格は横ばいで、新築の販売件数も前年の3分の2になる等、税制がマーケットに影響を与えています。追加印紙税などにより、取引量が減ったことにより、税収も落ち込んでいるようですから、不動産取引以外で財源を確保する動きになりそうです。

税率が低いことで競争力や活力を得てきたシンガポールですが、ここに来て見直しの兆しが出てきたとは注目に値します。経済成長と財政の健全化をシンガポールでさえ、意識し始めたということです。やはり、日本も小手先の金融緩和だけでは将来は乗り越えられないと気を引き締めるべきでしょう。

Related posts:

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す