最近めっきりシンガポールの不動産マーケットは鎮静化しているように見えます。
というのも、2011年から政府の不動産投機抑制策が功を奏しており、今年始めの購入者追加印紙税(ABSD)の税率アップがさらにとどめを刺した感があります。その影響は、シンガポールドル高とマレーシアリンギット安などの要因もあり、シンガポールマネーはマレーシア、特にジョホールバル不動産に流れていることは、前回のブログでもご紹介しました。
ところで、本日のBusiness Timesに面白い記事が出ていました。不動産コンサルタントのSavills の調査をベースとして、グローバル都市の不動産コスト比較をしたところ、シンガポールは不動産のコスト(同社が定義するグローバル企業が負担するオフィス、住宅の賃料の年間コスト)総額では、香港、ロンドン、ニューヨーク等上位3国に続き、第6位に位置しますが、都市の一人当たりのGDPに対するコストで見ると、主要都市の中で最も低いと言う結果が出たということです。
つまり、1ビジネスを立ち上げるロケーションとして、一人当たりの購買力がある都市にかかる不動産コストは安い=お金の使い道としては最も有効だという見方です。
この尺度で言うと、シンガポールはムンバイの4分の1、香港の半分のコストだと言うのです。見方をかえると、シンガポールは、同様のビジネスモデルで競争相手である香港との比較で入れば、不動産コストは2倍になってもおかしくない。つまり不動産価格は潜在的には倍になる余地があるという見方もできなくはないと言えます。
賢明なシンガポール政府は、この事実を良く知っているのでしょう。グローバル都市との比較において、何もしなければ確実に上昇してしまうシンガポール不動産ですから、上昇を抑え、国際競争力を維持する為に、不動産コストを抑え、地元国民の住宅高騰による不満を軽減するため、外国人やシンガポール人でも2戸目からの住宅には高額の印紙税(それぞれ、物件価格の18%、10%)を課すことを決め、不動産マーケットをコントロールしていると言えます。
ポテンシャルには、やはりシンガポール不動産は上昇する可能性は高いといえます。追加印紙税の税率アップが発表された今年の1月11日の2週間後に2030年までに人口を650万人(現状520万人)に増加させるという政府の人口白書が発表されました。まさに、この発表で住宅は高騰することを政府自身が確信しており、機先を制して追加印紙税の税率アップに踏み切っていたのです。
追加印紙税が規定のルールとして定着したのち、人口増加や経済成長に伴い、賃料上昇とともに、不動産価格はやはり徐々に上昇するというのが、シンガポール政府や地元の考えかたのようです。
記事は以下から参照できます。
Singapore is Value for money