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2月 06
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今年の春節の大晦日(2月2日)と元旦(2月3日)はシンガポールで静かに迎えました。

シンガポールも華人の国であり、旧暦2日(2月3日と4日)はほとんどのお店は休業しており、ユニバーサルスタジオで家族と元旦を過ごし、4日はマリーナベイサンズのスカイガーデンからのシンガポールの眺めを見て、夕方の便で上海に戻りました。

シンガポールは大晦日も正月中も爆竹は全く聞かれず、中国とはまったく異なる平穏な正月でしたが、上海に戻るとやはり爆竹、花火で騒々しい生活に逆戻りです。今晩12時からは、特に財の神様がやってくるとかで、先ほど(夜の10時頃)から花火がけたたましい音をたてています。まるで夜間空爆を受けている戦火の中で、世界に戦況を配信している特派員のような感覚です。

先月からチュニジア、エジプトなどイスラム国家で反政府運動が活発化していますが、この春節中、世界中でも夜寝付きの悪い国家首脳の中に中国共産党政府もあるのではないかと考えます。日本を抜き世界第2のGDP、GDP成長率対前年比10.3%などと一見順調そうに見える中国ですが、インフレや資産バブルの舵取りを一つ間違えると明日は我が身という恐ろしいシナリオが潜在的に存在する社会です。

天安門事件という民主化を求める民衆に銃口を突きつけたのは今から約21年前。その後先に豊かになる人から豊かになることを奨励した鄧小平の南巡講話、先豊論から中国人民の関心は民主化から経済へ向かいます。この20年で確かに人民の生活は豊かになりました。しかし、先に豊かになった人に追いつけなくなってしまうような恐ろしいほどの格差社会が誕生しており、今政府は持たざるものへの不満を緩和することに躍起です。SNSなどが中国でも本格的に普及の兆しがあるようで、今中国政府が最も恐れているリスクでしょう。

この20年間を見ると、不満のはけ口のとしてもっぱら使って来た台湾独立問題が昨今は陰を潜めている一方、2005年の小泉政権の靖国問題、日本の国連常任理事国問題に端を発する反日運動、昨年の尖閣諸島漁船衝突問題など、ここのところ、国内の不満のはけ口はもっぱら反日運動に頼っている情況で、もはやあまり有効な手だてもない状態です。

この8年中国で不動産のコンサルタントとしてマーケットを見て来た立場としては、政府はいよいよ不動産の投機抑制に本腰を入れるポースを示したと実感しています。昨今の矢継ぎ早に出されている不動産投機抑制策です。詳しくは当社調査部安田主任調査員のブログやメルマガなどを参照していただくと幸いですが、最近の目玉は新規購入1世帯1戸規制と固定資産税導入決定でしょう。この2つの政策は、上海や北京などの沿岸部の投機向け高級不動産を狙い撃ちにしています。今年の3月以降、価格の調整は必至です。

2009年あたりから各地の5つ星ホテルで、中国人富裕層が海外不動産投資セミナーなどに詰めかける姿を目の当たりにします。

今中国人の富裕層は冷静に実行しています。中国共産党がもしこの政権を維持できなくなったら、やっと築いたバブル資産が国家に没収される事態を回避するための方策。(文革の記憶)

今、ヒョトしたら、中国共産党政府は、春節にお金を神様を呼び寄せようと願う庶民の花火や爆竹音が、21年前の天安門事件とチュニジア・エジプトの反政府運動にオーバーラップして、意外と戦々恐々としていたりして?などと考えてしまうのは私だけでしょうか?

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