ニューヨークのライフスタイルと言えば、マンハッタンで摩天楼の夜景や緑のセントラルパークを眺めながら生活することを想像しますが、実は日本の家族のいる駐在員の多くは、マンハッタンから北のウエストチェスターカウンティーやニュージャージー州に住んでいます。今回から、ニューヨークの郊外の住宅への投資の可能性を検証します。
まずは、ニューヨークで働く駐在員の家族が圧倒的に居住しているエリアとして有名なウエストチェスターの視察報告です。Westchester Countyは、ニューヨーク州にある郡で、マンハッタンのグランドセントラル駅から列車で40分から1時間の距離にある高級住宅街です。政治家や芸能人などの有名人も多く住んでいますが、環境・治安の良さから古くから多くの日本の駐在員ファミリーも住んでいます。日米の高等学校卒業資格を得られることで人気のある慶応ニューヨーク学院もこのウエストチェスターにあります。
今回は、ハリソン、ライ、スカースデールなどの日本の駐在員がまさに借りているような賃貸面積の売り物件を中心に視察しました。しかも、当社提携先である古本不動産さんには、できるだけ築20年を超えているが、基本的に手入れが行き届いている物件で、なるべく市場に出ていない物をお願いしました。さすが、古本不動産は、1974年創業で、日系不動産会社のパイオニアです。市場にでておらず、オーナーと長いおつきあいをしている物件が何件かありました。
ハリソン(Harrison)
グランドセントラル駅までは、ニューへブンラインで約40分。
ウエストチェスター東部に位置するハリソン地区は、日本の駐在員家族に人気があります。駅からの徒歩圏内に、レント物件がたくさんあることと、日本の食料品店や日本人経営の美容院、補習校や塾などにも近いなど、人気の理由はいくつかあるようです。日本でも有名なヤンキースの元監督トーリー氏もハリソンの住人だそうです。
2世帯住宅( Two Family House) が、許可されている地域であり、投資対象としても面白いエリアです。
実は、2世帯住宅というのは、母屋と別に1ベッドルームや2ベッドルームが付いていることから、うまく貸せると通常のOne Family Houseよりも賃貸面積当たりの単価があがるので、投資効率が上がります。ただしどのエリアでも許可になる物ではないらしく、特定のエリアでは許可にならないようです。
94 Adelphi Ave
Harrison駅から徒歩10分のロケーションで、2世帯の住宅、しかも庭に離れがあるという珍しい住宅。母屋は4Bed Roomで、離れの別棟には1Bed Room +1 Study Roomがあります。
売却希望価格はUSD900,000、想定家賃はUSD5,000/月なので、Gross利回りが6.6%は最低確保できる物件。戸建てなので共益費はないですが、固定資産税は、土地も付いて広くなる分月額1333ドルとコンドミニアムより総額は高額となり、ネット利回りは4.9%となります。
153 Webster Ave
これも2世帯住宅仕様になっており、母屋が3Bedで、もう1室が1Bed Room。
住宅の総面積は3,000Sqf(約270㎡)で売却希望価格は$950,000。月額賃料は$6,000が可能であり、なんとGross 利回りは7.5%が期待できる。(固定資産税は月額1250ドルであり、ネット利回りは,6%)
広い裏庭にテラスとプールが付いており、またコミュニティーセンター(野球場、バスケットコート、スイミングプール)が隣接していることから子供がいるファミリーには人気の物件です。
スカースデール(Scarsdale)
ウエストチェスター中ほどに位置する、美しい高級住宅地。学校区は、成績は全米でもトップクラスで、常に上位に入るその教育制度が人気の理由。アメリカの不動産は、学区に優秀な学校があるかどうかで価値が決まるとも言われており、隣接していても学区が変わることにより、不動産の価格が全然ちがうこともあり得ると言われ、スカースデールの不動産価格が高く安定している理由の一つです。
ウエストチェスターでは最も早くから、駐在員が住み始めた地域で、今でも変わらぬ人気の地域で、駅周辺は建物の雰囲気が統一され、おしゃれなお店が建ち並んでいます。日系の美容院、レストランや歯科医院日本食料品店や塾,幼稚園や補習校などがあり、日本人にとっても生活するのにはとても便利な町のようです。
以前、坂本龍一さんもこのあたりに住んでいたようです。
マンハッタンへは、ハーレムラインで約35分。
26 Ferncliff Rd.
1926年築の木造One Family Houseです。コロニアル調の建物で,広い芝生の庭と、暖炉(薪ストーブ)のあるアメリカンライフスタイルがエンジョイできる住宅です。
治安の良さは各住戸にゲートが付いていないことから窺い知れます。
内装は改装済で手を入れる必要はなく、そのまま貸し出せます。
売却希望価格は$979,000 で、想定家賃は$6,000/月ですが、固定資産税がやや高く月額$1,685で、ネット利回りは5.3%程度となります。
やはりマンハッタンと比べると、土地建物の居住空間はゆとりがあり、住環境も優れている為、ウエストチェスターはファミリーには圧倒的に人気があります。投資物件としてみても、テナント需要が強く、安定した賃貸収益が期待できます。また、すでに開発が終わっているため希少性が高く、かつ実需での購入ニーズも強いため流動性が高いのが特徴です。 何よりもマンハッタンの高級コンドでは1億円出してもワンベッドルームですから、ウエストチェスターでは戸建てで、土地は1500〜2000㎡、建物も300㎡プール付きなんていうのも1億円出せば買えますのでお買い得感があります。(といっても、やはりマンハッタンだという人もいるでしょうが)
木造建物でもしっかりとしているので、築年数が経過していても長く使用に耐えます。日本の法定償却年数20年を超えている物がほとんどですので、日本での申告の場合、4年で償却できるため、高額所得者にとっては、節税メリットを享受できます。
価格的には、日本人駐在員が賃貸する需要のある3−5ベッドルームで、USD900,000〜USD1Mil の物件が狙い目です。2ファミリー物件は利回りが上がるのですが、物が少なく希少性があると思います。